時々目にするのですが、「ミニマリスト=少ないお金で生活する」というイメージを持って、ミニマリストを目指すかたがいらっしゃるようです。
しかし、残念ながら、多くの場合、ミニマリストと「少ないお金で生活」はイコールで結ばれる関係ではありません。むしろ、真逆の価値観だといってもいいくらいです。
カテゴリエラーは、両者にとって悲劇を生みます。
そこで、今日はどうして「ミニマリスト=少ないお金で生活する」が成り立たないのか書いてみようかと思います。
非所有、だけど非消費ではない
アウトソースという価値観
まず、ミニマリスト(最小限主義者)の原則は物を持たないことです。つまり、非所有です。
物を持たないために、ミニマリストは心血を注ぎます。物を持たないためなら、ミニマリストはお金に糸目をつけません。そして、最も簡単にミニマリズムを体現する手段はアウトソースです。
要は、全てを外食で賄い、移動をタクシーで賄い、暮らしをホテルで賄えば、それらを所有する必要はないわけです。コインランドリーを使えば洗濯機はいりません。もっといえば、一度着た服は端から捨てて新しい服を買い直せば、所有する服は常に着ている一着だけです。
決して大げさな話ではないから、驚き
これらを実現するためには、当然お金がかかります。そして、びっくりすることに、上記の例は決して大げさな一例ではなく、ミニマリスト系スタイルのデファクトスタンダードなのです。
あなたが「少ないお金で生活する」ことを目的として、ミニマリストを志した場合、何度となくこの価値観と遭遇し、面食らうことになるでしょう。
ミニマリストには何故かガジェット好きが多い
ミニマリストには、何故かガジェット好きが多いです。もっといえば、apple信者含有率が非常に高いです。
最新のガジェットを買えば、当然お金がかかります。そして、生きている限り、最新のガジェットは出続けます。前買ったガジェットは? 当然捨てるのです。あるいは、誰かに譲り渡したり、寄付したりします。
ガジェットに限らす、ミニマリストには投資好きが多い
これは当然といえば当然ですが、少ない所有で賄う以上、ミニマリストは機能性を追求します。あるいは、美観を追求するかたもいます。どちらにしても「持つに足る」価値を追い求めるのです。
結果、ミニマリストは「持つに足る」出会いのための投資を惜しみません。機能は科学の進歩と共にアップグレードが必須であり、美観は年月の経過と共に世代交代を必要とします。
節約型のミニマリストもいるにはいるが…
「少ないお金で生活する」を実現しているミニマリストもいらっしゃいます。たとえば、先日バズった「物を持たないミニマリスト」さんの記事「なぜ億万長者の一流メジャーリーガーが月8万円で車上生活をしてるのか?」に登場するダニエル・ノリス氏は、ほとんどお金というものを使わず、月8万円程度で生活しています。
しかし、これは幸運な着地点です。
氏はミニマリストを目指して、この結果に至ったわけではないでしょう。氏のライフスタイルが偶然ミニマリストに合致し、「少ないお金で生活する」に合致したにすぎません。
節約が目的なら、ミニマリストはカテゴリエラー
僕は、別に節約型のミニマリストを否定しているわけではありません。そういうかたがいらっしゃるのは事実ですし、当ブログでも過去に分類記事を書いたことがあります。
ただ、もし「少ないお金で生活する」を目的とするなら、ミニマリストを入り口とするのはとても無駄が多いと思うのです。
よけいな価値観までついてくる
少ないお金を至高とするなら、「投資」も「アウトソース」も余計な価値観です。そもそも根本となる「非所有」の価値観すらノイズとなるかもしれません。そこには、目的のすりかえが起こっているからです。
「非所有」ではなく「非消費」を求めるべきです。
もっと即効性の高いワードをオススメ
なので、純粋に「少ないお金で生活する」を求めるのであれば、検索ワードを変えることをオススメします。「断捨離」「節約」「Bライフ」――もっと即効性のあるワードはいくらでもあります。流行に乗せられず、調子のいい言葉に惑わされず、自分の目的と本当に合致するかよく考える必要があります。
それでもミニマリストは楽しい
ミニマリストと「少ないお金で生活する」は、イコールで結ばれません。
その上であえていえば、それでもミニマリストは楽しいです。ミニマルであることは、シンプルで自由だからです。
所有するものはわずかで。あるのは自分だけで。その分、世界は広大です。
あなたの思う以上にお金がかかるかもしれません。触れている内に感化されてしまい、節約とは縁遠い着地点に辿り着くかもしれません。
それでも、もしあなたがそれを望むのなら、誰もあなたがミニマリストになることを止めることはできません。まだ極限に辿り着いていない僕も、同行者の存在をうれしく思います。――ようこそ、こちら側の世界へ! お互い歩けるところまで歩ける範囲でラフに歩いていきましょう。