年末年始が近づくと、我々は二つの大移動を行います。ひとつは、帰省ラッシュ。もうひとつは、四月からの新生活に向けて上京・転勤する組の大移動です。
特に学生のかたなどにとって、初めての一人暮らしは何かと出費でしょう。中には、家賃を節約するために、ルームシェアを検討されるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、このルームシェアというのは、なかなかくせ者です。人間同士である以上、人と人の問題は常につきまといます。
今回は、現在進行形でルームシェアを継続している管理人 ないなり のルームシェア事情をお伝えします。その中でも、シェアメイトを説得する方法について中心に述べてみたいと思います。
失敗も成功も。だから語れる
管理人 ないなり は現在ルームシェアをしています。もうすぐ二年になるでしょうか。特につつがなく継続しており、賃貸契約更新後もしばらくはこのまま共同生活を続ける予定です。
もともと以前にも一度だけルームシェアを経験したことがあったのですが、その時の相手とはお世辞にも楽しい関係が築けたとはいえず、結局数か月で別れ別れになってしまいました。その経験を踏まえ、対策した結果として今のルームシェアの成功があります。
つまり、自分は、失敗したルームシェアについても、成功したルームシェアについても実体験として知っているということです。かつ、失敗から成功に繋げるために自分がおこなったノウハウの蓄積もあるわけです。
今回は、シェアメイトを説得する方法ということですので、自分が今のシェアメイトに「一緒にルームシェアをしよう」と言うにあたり、実際どのような手法をとったのかをご紹介したいと思います。
プレゼンテーションしましょう
自分の場合、シェアメイトを説得するにあたっては、ずばりプレゼン資料を作りました。
友人を家に招待し、要点を印刷した紙を配って、彼に「自分とルームシェアをするメリット」を売り込んだのです。PDFなどではなく、ただのテキストまとめ一枚でしたが、酒の席で気軽にするプレゼンとしては充分でした。
ルームシェアのプレゼン概要は、以下のとおり。
- 自分の目的
- 何故あなたなのか
- 検討お値段
- 交通の便
- 賃貸契約について
- 住民票と住民税の問題
- ネット回線の問題
順に説明していきましょう。
自分の目的
何故自分がルームシェアをしたいか、その理由について書きました。
自分の場合、貯金がしたかったからというのが一番の理由です。賃貸をシェアすれば、単純計算で家賃は半分になります。くわえて、自分の場合、既にその時自分が住んでいた賃貸物件でシェアをしようと思っていたので、別途敷金礼金がかからずに済むという利点がありました。
あと、あくまで効率の問題であり、ルームシェアを断られたら普通に一人暮らしを続けるだけだよーという一文を添えました。別に断ってくれてもいいよ、という選択肢を提示できれば、相手にとってはだいぶ気が楽です。
何故あなたなのか
何故あなたなのか。このアジェンダは重要です。相手を口説きたおす以上、口説く理由を説明するのは必須です。
自分の場合、シェアメイトは大学時代からの友人でした。初ルームシェアでは、ネット経由の知り合いだったのが失敗の一因でした。なので、今度は、気心の知れたリア友を相手にしたかったのです。
彼も僕も、ものを作るのが好きな性質で、かつて一緒に共同制作をしたという実績がありました。何らかの共同作業をしたことがあるというのは、シェアをする上で重要です。
何より、お互いにそこそこズボラで、貯金したいという点で利害が一致していました。神経質だったり猜疑心が強い相手とのルームシェアは長続きしません。これは相手だけでなく自分にも言えることです。あなた自身が神経質だったり猜疑心が強かったりする場合は、自分の性質をまずは断捨離した方がよいかと思います。ルームシェア後の成功率が格段に上がります。
検討お値段
検討お値段は、極めて実際的なアジェンダです。相手に支払ってほしい金額を書きます。
自分の場合は、家賃を単純折半した上、固定共益費として電気・ガス・水道・ネット代の半額を概算して上乗せしました。コミコミプランというわけです。
厳密に共益費を計算するのは、揉める一因になりがちです。しかし、コミコミならその心配はありません。相手がズボラで自分もズボラなら、こんな簡単プランはありません。
ただし、「実際の共益費がコミコミより高かろうが安かろうが固定だよ」という点を、相手に了承してもらわなければなりません。かつ、あまりに乖離がある場合は、共益費の修正を検討する旨も伝えた方がいいでしょう。
交通の便
交通の便。これも極めて現実的なアジェンダです。
相手の勤務地を把握しているのが第一です。あくまで相手の目線でプレゼンするので、交通の便も、相手がよく行く場所に絞って載せるのがよいでしょう。当然、アクセスは、相手の現住所より良い方が望ましいです。
賃貸契約について
大家(実際には、不動産管理委託会社)との契約がどういう扱いになるか説明しました。
プレゼンをした時点では、まだ委託会社と交渉はしていなかったので、一般的なケースについて説明しました。ルームシェアの場合、代表者一名との契約となる場合がほとんどです。大家の意向によっては、備考欄に「同居人:○○」などと記載されるケースもあります。
もちろん、大家とのシェア交渉はこれからである旨についても付記しました。ただ、自分の賃貸は六畳二間の2DKで、もともと家族向け物件でした。そのため、おそらく二人以上で住むこと自体は問題ないだろうと予想していました。この点についても付記しました。
実際には、自分たちの場合、同居人についても保証人が求められました。そのため、若干煩雑になりましたが、このくらいは許容の範囲です。
住民票と住民税の問題
ルームシェアをした場合、法律的にどうなるかの説明は絶対にするべきです。
ルームシェアに相手が気乗りしない理由の最たるものは、こういう法律面が「なんだかよくわからないから」だと思います。自分から提案している以上、こういった点は提案者の側が調べてケアするべきです。
ルームシェアの場合、法律上は「たまたま住んでいる住所が同じだっただけ」という扱いになります。住民票は、普通に移動させるだけ。住民税も、それまでどおり個別負担になります。賃貸契約は、あくまで大家と店子の個人契約なので、国はそこに関与しないのです。
ネット回線の問題
このアジェンダは正直いらないかもしれません。
ただ、自分の場合、相手が光回線で自分がADSLだったので、相手が自分の賃貸に引っ越してくると、ダウングレードになってしまうという事情がありました。お互いにハッピーな未来を目指す上で、マイナス要素を可視化しないのでは嘘になってしまいます。なので、特別にこのアジェンダを設けて、マイナス面についても説明しました。
まとめ : 自分も相手もWin-Winになるのが前提
僕が用意したプレゼン内容は、以上になります。
シェアメイトはその場で前向きな解答を出してくれましたが、一応一週間ほどの期間を設けて、もう一度よく考えてもらうようにお願いしました。ここを性急に進めると、後で失敗する確率が上がるからです。
全てにいえることは、フェアな姿勢で真摯に臨むことです。自分の得だけでなく、お互いのWin-Winを至上命題に据えなければなりません。
もし、何らかの搾取をおこなうなら、搾取の正当性を主張した上で、はっきり言ってしまった方がお互い楽です(たとえば、「契約主体者特権で、家賃を6:4にさせてほしい」とか)。明示してしまえば、後は相手に損得を判断してもらえばいいので。
ルームシェアを運用する上では、他にも工夫している点はあるのですが、それらをご紹介するのは、次の機会に譲ろうかと思います。
ではでは。